村上龍

政府と反乱―すべての男は消耗品である<Vol.10> (幻冬舎文庫)

 

 

村上龍のエッセイです。日本への批判は面白く読みました。しかし、若干村上龍は経営者よりなのではないか?と感じました。優良企業であっても裏では派遣労働を大量に安くこきつかっているかもしれないのに、そういったことへの批判はあまりないと感じました。それどころか、派遣労働者を使うことで雇用の促進につながるといった文章もありました。また、村上龍小泉改革にも賛成だったようです。

 

この人は無理に競争をあおる人で、本来どのような会社であれ、社会的責任を負っているはずですが、そのような視点がないように感じます。派遣が労働者の雇用促進につながるというのは完全に詭弁だと思います。会社はある程度、安定的(終身雇用という意味ではない)な雇用を目指すべきだと思います。セーフティネットすらない中で企業に都合のいい論理で改革をされたらたまったもんではないでしょう。村上龍の頭の中ではそのような改革を望む企業が優れているとでも思っているのでしょうか?

 

昔ソ連崩壊後、ロシアで政権に近かったり、脱法行為をやって業績を伸ばした企業がたくさんありましたが、今の日本もそれに近くなっているのでしょうか?改革は必要ですが、薬の安全性をないがしろにした「楽天」や従業員をこき使った「ワタミ」などはまともな優良企業なのでしょうか?